写真で見るヤリマンボウの成長

ヤリマンボウの基礎知識

標準和名:ヤリマンボウ

英名:Sharptail mola

学名:Masturus lanceolatus (Lienard, 1840)

分布:全世界の温・熱帯海域

特徴:表層 〜−1000m付近まで移動できる

   舵鰭の中央が尖っている

   マンボウと同様に全長が3m以上になる

みなさん、こんにちわ。今回はヤリマンボウの成長について少し見てみましょう。

この卵巣は三重県尾鷲市で獲れたヤリマンボウの卵巣です(100%アルコールで固定しています)。下の写真にも出てきますが、本体の全長は1060mm(106cm)です。卵巣重量は39.6gでした。卵巣が破けて卵のかたまりが飛び出ています飛び出た卵の塊をほぐすと一粒一粒の卵を見ることが出来ます。今回、大きさは測定していませんが1mm以下であることは間違いありません。写真も撮ったのですがうまく撮れておれず、みなさんにお見せ出来るほどのものではありませんでした。また機会があればチャレンジしてみようと思います。ちなみに全長4フィート6インチ(約137cm)のマンボウで卵を3億個持っているそうです。このヤリマンボウは全長約106cm。ヤリマンボウもそれに近いくらいの卵がこの卵巣の中に入っているのでしょうか?

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横から見た卵巣

正面から見た卵巣

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@全長約2mm:ピラミッド形の体棘があり、金平糖のような形をしています。 A全長約13mm
新鮮なヤリマンボウの稚魚
「真人屋 本店」様より
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B全長約19mm:このサンプルはマーシャル諸島北部付近で獲れたメバチの胃の中から出てきたものです。体棘は全て萎縮していますが部位・数は変わりません。 C全長約35mm:このサンプルはマーシャル諸島東部付近で獲れたフウライカジキの胃の中から出てきたものです。体は少し長くなってきました。 D全長約59mm:このサンプルは鹿児島県口良部島付近で獲れたシイラの胃の中から出てきたものです。非常に状態が良く、捕食されて間もないものだと思われます。長く伸びた舵鰭を確認することが出来ます。
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E全長約66mm:このサンプルはマーシャル諸島東部付近で獲れたフウライカジキの胃の中から出てきたものです。体も大分長くなってきて成魚に近くなってきました。 F全長約1060mm:このサンプルは三重県尾鷲市九鬼の定置網で漁獲されたものです。卵巣を持っていました。舵鰭の中央はかなり短くなっています。 G全長約1951mm:秋田県由利本壮市の海水浴場に漂着したヤリマンボウです。舵鰭の中央はかなり長いですね。

分類のコーナーでも述べましたが、ヤリマンボウに属にはヤリマンボウとトンガリヤリマンボウの2種が存在します(この2種を同じ種だと考えている研究者もいるようですが)。Fraser-Brunner,1951のマンボウの絵を比べる限り、Fの写真はトンガリヤリマンボウ、Gの写真はヤリマンボウと思われます。もしもこのFとGが同じ種であるとすれば、成長するにつれ舵鰭が伸びるということになりますね。しかしこのFとGのヤリマンボウ、細部の形態が結構違うのです(詳細はコチラで)。雌雄で形態が違うこともあるかもしれませんが、私は同じ種とは思えません。マンボウよりも発見しにくいヤリマンボウ、この魚の謎が解けるまでにはまだまだ時間がかかるかもしれません。

しかし、卵から2mのヤリマンボウの写真をここまで細かく集めることが出来たのは奇跡に近いです(ヤリマンボウとトンガリヤリマンボウが混ざっているかもしれませんが)。これもサンプルや写真を提供して下さった皆様のおかげです。本当にどうもありがとうございました。

参考文献:日本産稚魚図鑑 沖山宗雄編

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